360°多面評価幻想・失敗事例からも学んで・・・ あるべき多面評価の形は? 親ページへ移動  システム概要とインティックスへ

人事考課(人事評価・人事評定・人事考査)は、人が人を評価するもの。神様でなく、人が評価する故に、その評定者の主観の影響は排除できない。ならば、評価する人数を多くすれば、より客観的になる、より妥当な評価データになるだろうと。そこで考えられたのが360°多面評価である。組織の上からのみでなく、横からも、下からも評定する。

図1は、組織の中間階層に位置する課長の360°評価例である。中村課長の評価を直属上司の木下部長のみでなく、他部門の上司、佐藤部長、小林部長、同位の井上課長、武田課長、そして、部下の佐々木、鈴木課員の七人が評価する。大組織においては、人事部は、この他部門上司、同位評定者に、誰が評定者として、この被評定者をよく知る、評価できる人物か解らない。そこで、被評定者に、己を評定する者を選ばせるという。被評定者は、評定を御願いしたら、その部長には、お歳暮を贈る必要もあると、そんなことを考える人も出てきます。同位の評定者とは、お互いに話しをつけての、談合評価もありましょう。

また、図1の例が示すように、各被考課者に対する、7名の考課者の構成、組み合わせは異なる。その上、各考課者の評価の物差しを合わせることは難しく、甘い人、辛い人、中心化傾向の人と、データは揺れます。結果として、各々の被考課者に対する評定尺度も揺れてしまい、集計したところで、処遇に結び付けるデータとするには問題がある。この限界故に、多面評価を実施する、多くの職場で、多面評価データは参考データとして位置付けている。多面評価は、データが非常に多くなり、その処理には、多くの手数を要します。そのデータが、参考データとしてしか活かせないのは惜しくありませんか。

部下からの評価は、人事部が、被評定者には、誰であるかを明かさず、評定者を決定するという。しかし、評定の仕組みは公表されているから、部下に対して、「人事部から、評定者に指名されたなら、僕には高い評定とするように。その見返りに、君達の評定も高い評定点とするから。」との、上下による談合が発生することも事例としてあったようです。

360°の七人の評定者を設定する。しかし、現実の組織において、相応しきポジションに、適当なる人材が存在するでしょうか。図2は、組織図の例ですが、これを、小さな一企業と見ても、あるいは、大組織の一部門と見ても、そんなに違いはない。このような組織で、前述の360°評定の組み合わせを想定して見て欲しい。各々を、被評定者とした時、上司を除く六人の選択は意外に難しいものです。

また、六人の組み合わせの難しさもありますが、各組み合わせから生まれる評価データ(図1による、被考課者数のデータ)は、相互に比較して意味あるデータとなるでしょうか。A課長とB課長、各々を評価する評定者の組み合わせは異なる。七人のデータを単純集計しますか。直属上司のウエイトを大きくして集計しますか。人事評定で、被評定者が、また、人事部が、最終的に得たい答は、同位者の評価点数の妥当な差です。このばらばらなデータの集合にこれを期待することに無理があると考えます。

下からの評定においては、下位の者が、上位の者の担っている業務の全貌を理解していない、評定者としての評定能力の問題があります。組織として追求して欲しい、上からの苦い指示を下に伝えず、下の愚痴を無批判に聞く上司が、下から高く評価されてしまうということもおこります。

下からの評価としては、管理職などの「リーダーシップ」を観るという目的で、部下からの無記名の評定をする方法があります。エトナにおいても、「公平クン」で、データを出してみました。結果としては、前述の下に受けの良い、人気のある上司に高い評価がなされるという傾向は避けられませんでした。但し、項目毎の評価の揺れから、部下からのメッセージとして読み取れる所はありました。絶対値としての点数には、あまり意味はなくても、リーダー各位の反省材料にはなると思われます。

エトナの多面考課「公平クン」

「公平クン」においては、システムとして、360°評定は可能です。しかし、上に述べた理由から、運用において、下からの評定を入れないことをお奨めしております。また、従来の方法論の弱点、妥当な相互差を求められないという点を注視し、比較されるべき被評定者を1つの集団として括ります。また、評定者の選択を、組織の形態から、関連する上司を一括して評定者集団とします。即ち、被評定者集団と、評定者集団の組み合わせを創ることになります。これは、七人の評定者設定と比較して、遥かに自然で、容易な作業です。図3は、上の組織を職階と、部門でまとめて、各々、相互比較すべき被評定者の集団とした例です。

例えば、部門のAとBの一般社員の16名の被評定者集団においては、上位の評定者として、同部門の主任3名、課長3名、部長2名、そして、横方向から、自分を除く15名からの評定を受けることとなります。運用上は、直属上司は、部下全員全項目の評定を義務付け、他は、評定し得る範囲への評定とする、システムは、そんなデータの集計を可能としております。

また、同位の者の妥当な相互差を求めるために、評定作業そのものも、被評定者の比較を容易にすべく、画面上で、上下の位置付けを確認しながら評定を行う仕組みにしております。これをもって、「相対評価」ではないかの誤解をされる方もおりますが、皆が高い評定に相当するのであれば、そのように評定することを禁止するものではありません。

(御参考頁 評定項目別に人名をランクに移動

システムでは、妥当な評定値を求めるために、集計方法でも、多くの工夫をしております。単純集計も可能ですが、横方向の相互考課においては、皆を甘く評定したら、自分が損をする。皆を辛く評定したら、自分が得する。そんなことがあっては、横方向の妥当な評定が成立しません。これに関しては、その相互評定者のデータの甘辛が、全体の平均値に及ぼした数値でコンピュータが調整します。

また、最終的に部門全体の評定を結論付けてきた、高位の責任者を、「基準値考課者」として、その平均値、標準偏差を、集団全体の基準値として集計する方法も設けてあります。全評定者の平均値、標準偏差を、この基準値と比較し、各々の元データを調整して集計計算を行います。

(御参考頁 甘辛調整説明

「公平クン」には、評定データをより妥当なものとするため、評定者が、どのような評定を行ったか、各種傾向指数(甘辛、中心化傾向他)を数値として出力、また、図で、色で、よりビジュアルに表現します。各評定者に対する、詳しいデータでは、この部長は、この部員に甘く、この部員に辛いと、多面評価故に可能となる、比較データも取り出すことができます。評定者に、これらの評定者チェック機能を理解させる、それが、より公正、妥当な評定に向けて大きな力になります。

(御参考頁 考課者チェックデータ

「公平クン」の多面評価は、このように、従来、米国で、あるいは、日本の一部の職場で実施されている方法とは、全く異なり、多面データを、単に、偏った評定者への牽制データに止めず、貴重なデータとして、コンピュータの中でより妥当なデータとして磨き上げ、反映に結び付ける方法、システムであることを御理解下さい。