人が人を評価することは難しい。職務を分析し、評価の観点、評価基準をより詳しく定義しても、評定する人により、その評価結果は違ってくる。甘い、辛い、中心化傾向の程度も、人によって異なる。
しかしながら、個々の評定者に、物差しの目盛に違いがあっても、相互の位置付けが妥当であり、大きく違わなければ、このシステムでは、有効なデータであり、それを活かします。また、データをそのように、活かせるデータに導くために、下に示すような、一連の評定者チェックデータが威力を発揮します。
甘辛調整をしての集計計算結果から、各考課者の甘辛(甘辛差)、中心化傾向(分布度)を算出したデータが、下の表の数値です。項目ウェイト計200に対して、全9ランクの1ランク(20点)以上甘い、あるいは辛い考課者は、「甘辛差」の数値欄を赤く表示しています。
(御参考ページ:「多面評価データの計算処理方法」)
考課者中西栄蔵氏は、被考課者28名中、21名余を考課しています。この21名を全考課者が出した数値と比較した結果、29.4点辛く、また、金森徳治氏は、10.9名に考課して、20.1点甘いと出ました。手塚啓治氏は、24.3名に考課して、分布度0.57で、全考課者の24.3名に対する考課と比較すると、データの分布が57%ほどに縮まっている、かなりの中心化傾向です。3人の考課者の評価データは、下のボタンをクリックで、詳細を図解表示します。
このシステムでは、直属上司の部下への評価は、全員全評価項目への全回答を義務付けますが、他部門メンバーへの評価、あるいは、被評定者相互の評価は、評価し得る対象者、評価し得る評価項目への評価のみを行います。これらの尺度の異なるデータを、単純な集計計算を行ったならば、辛い中西課長に評価された皆さんは、点数が下がり、損になります。また、甘い金森課長に評価される人は得します。あまり差を付けない手塚課長には、評価してもらっても、影響は小さくなってしまいます。そこで、甘辛調整をした集計計算が必要になるのです。
ここでは、特徴のある、この3名の、考課データ(分布図)、調整データ(分布図)で、難しい計算方法は抜きで、甘辛調整の仕組み、原理が御理解いただけます。このシステムでは、これらの各考課者の観方の違いはそのまま生かし、かつ、集計計算結果には、有利不利が生じないデータ処理を行っています。多面考課データから、人事処遇へ活かせるデータの生み出し方、評価の新しい方法を御理解下さい。

上の図の「不公正度」とは、各考課者の項目別評定値が、考課者全体(基準値考課者設定という運用方法もあり、この場合は、部門の責任者のデータを比較の基準値とします)の出している値とどれほど異なっているか、絶対値の差を累計しての「絶対差」、被考課者相互の順位付けの違いの累計「相対差」をかけた数字を算出、更に、勇気を持って、公正に、良い所は高い評価、努力をして欲しい所は低い評価をして、評定データに、有るべき差を付けているかの「分布度」で除した数字です。
結果として、皆と見解が異なる、あるいは、被評定者相互の差を小さくしている評定者の「不公正度」は大きな値となります。これを参考データとして、上位の複数考課者が、前述の考課者別分布図等を基にして、お互いの評価も違いを検討し合い、元データの修正というプロセスを入れることで、より妥当なデータにすることを助けます。また、相互考課者の中の、評定能力に問題ありとされるような、「不公正度」の値の極端に高い評定データは、集計計算から除くという運用も考えられます。
(御参考ページ:「公正な人事へのシステムの仕組み」)
公平クンシステムの運用では、このような、ビジュアルなデータ、多様な分析データ、公正な集計方法を、職場全体に理解させることが制度改革成功の鍵となります。このシステム理解が、評定者に、恣意的なデータを作らせない作用をし、元データの質向上にも大きな効果を発揮します。